乾いた集落の一体にぽつぽつと雨が降ってきた。雨水は乾いた大地を潤し、冷たい土となっていく。
部族を取りまとめるレグバ姫の側近のドイハとヤムリアの話を聞いていたミラーボール団長は改めて2人に聞き直した。
「で、何をすればいいんだっけ?」天気に似合わない太陽みたいな笑顔だ。
ドイハが真面目な顔をして答える。
「あなた様のサーカスにシャーマンの方がいらっしゃいますね?」
「マクタブ・キャロウェイだね。確かに彼は元々最強のシャーマンだった。」
「あの方の体のタトゥーにレグバ様の故郷のものと同じ紋章がありました。」ヤムリアが続けて言う。
「そして我々にも…。」二人がつけていたペンダントを裏返すとそこには16枚の花弁がついた花の紋章があった。ミラーボールはおお!とちょっと驚いたような顔をした。
「あの方ならこの地に住む蛇のスピリットをどうにかすることができるのではないでしょうか?」
ミラーボール団長はむっとした顔をして眉を顰めた。
「あのね、キミらはレグバ姫の側近でありながらわかってないね。シャーマンの役目は除霊やスピリットを祓うんじゃなくて、スピリットの声を聞くことだよ。」
「す、すみません!!」
しかしミラーボールは気にしてないみたいですぐにいつもの笑顔に戻った。
そしてミラーボールは自分の顎に手を当ててしばらく考えた。「スピリットの宿主…ヴォーダン・ゲーム…マクタブ…。」
ぶつぶつ一人言を唱えて、ぽんと手を打った。
「そっか!乗せちゃえばいいんだ!」
「乗せる?」「何を?」
ドイハとヤムリアが同時に首を傾げる。
「実態のないスピリットは全部ボクの列車に乗せてあげるように交渉するよ!どちらにしろ、マクタブの楽団はありとあらゆるスピリットの力を借りて演奏されてるんだからね。」
しかしドイハもヤムリアも大丈夫なんだろうかといった反応だ。ミラーボールはまたしても考えた。そして、
「ボクのサーカスを見ればきっとみんな乗りたくなるよ。それでもというなら、公演のプログラムにヴォーダン・ゲームを組み込むからさ!」
「何言ってるんですか!あのゲームは危険です!」
「だからヴォーダン・ゲームに成功したらスピリットのみんなはボクの列車に乗る、でいいかな?マクタブがヴォーダン・ゲームをやって成功したら乗る。それでいいよね?スピリットの契約は絶対でしょ?」
ドイハとヤムリアは逡巡した顔で頷く。でもミラーボール団長にはまだ案があるそうだ。
「でも、ただのヴォーダン・ゲームなんて見たくないな。ボクのサーカスでやるんだもの。ねえ、ゲームの中で呪文を唱える人と踊る人は同じでなくちゃいけないの?」
「そ、そりゃあ今までは一人での参加でしたので…。」ドイハが答えようとすると、「いいえ。」なんとヤムリアが否定した。
「過去に恋人同士でゲームに参加した者がおります。その者達は呪文とダンスを分けていました。男の方が呪文に失敗して失格となりましたが…。」
ミラーボール団長はにんまりとほくそ笑むような表情をした。そしてまたしても二人に質問した。
「ねえ、この土地の巨大な蛇が住んでるって言われてるような神殿とか木とか、ないの?」
ドイハとヤムリアは顔を見合わせた。
☆★☆
二人が団長を連れてきたのは少し高い所にある沼だった。雨は小降りだが止まずに降っている。ミラーボールは頭を抱えた。
「うわー濁ってる。これじゃあ水面に何も映らないから帰るための列車に乗れないぢゃん!」
ヤムリアが聞いた。「さっきから言ってるれっしゃというのは何なんですか?」
ミラーボールは振り返った。「そっか。この世界にはまだ列車が存在してる文面がないんだね。とにかく水が姿を映すぐらい澄み切ってないとボクらは帰れないんだよ。」
ドイハがはははと笑った。「そりゃ難しいですね。この沼には死期が近い動物達が最後に眠りにつくためにやってくるんですよ。だからか知らないけど、葉っぱ一つ浮かないんです。そんな動物達の魂が実態のないスピリットになってるのかもしれませんね。」
ミラーボールは本当に落ち葉一つ浮いていない水面をじっと見つめると、呟いた。
「やっぱりボクはここでサーカスをやるよ。」
そしてドイハとヤムリアの方を振り返ると言った。
「だからボクのサーカスを完璧に実行するには、あの帽子がいるんだ。」
ミラーボール団長から良い答えを得られなかった私はちょっとイライラしながらサムディ少年の元へ戻った。
「どーだった?」
私は首を振った。「駄目だって。あの人ちょっと変なんですよ。」そう言って団長のせいにしてみるが、そんなことしていいのかとも思った。自分がどうにかできなかったことを人のせいにしている主体性のない人間のままでいいのだろうか。
「そんな!困るんだよ!それなら僕はこんなゾンビまみれの集落に一生閉じこもってろってのか?どうせ僕が死んだらやつら僕の肉体に憑依するだろうよ!」
すると、背後から鈴の音のような音が聞こえた。見るとレグバ・ウコンディがそこに立っていた。鈴の音は全身のアクセサリーが擦れる音だったのだ。
「あらサムディ、この集落からあなたは出ていきたいのですか?」
本当に美しい幸せそうな笑顔だ。だけどどこか疲れているようにもみえる。
「残念です。あなたには次のシャーマンとなって部族をまとめてもらいたかったのに。」
レグバ姫が笑顔で話をするので一瞬何のことか分からなかった。サムディが目を見開いた。
「どういうことだ?」
「私はもうすぐ死ぬから。」
「え?」
「大蛇のお告げです。私の力は偶像に封じ込めておきたい、その方が安全なのですって。だから次にこの部族を指揮する生きた人間はあなたしかいないのです。」
「待てよ!何だそれ!他にも生きた人間はいるんだろ?ドイハやヤムリアは…。」「彼らは人間ではないから。」
レグバ姫の話が衝撃的すぎて私が何も言えないでいると、またも背後から顔を出す者が現れた。ミラーボール団長だ。
「見つけた!ボクの帽子を返してもらえる?」
サムディの目をまっすぐに見て尋ねる。私はさっき反抗的ない態度を取ってしまったので上手く団長の顔を見れなかった。サムディはげ、と言ったような顔をしたが渋々と団長に帽子を手渡した。
「どうしても、仲間にしてくれない?」
団長は答えずに帽子を頭に深く被る。まるで帽子が被られることがずっと決まっているかのようにそれはぴったりと団長の頭に収まった。
「キミもボクのサーカスを見に来るといいよ。それを見てキミがどういう道を辿ることになるか、それがキミのマクタブだよ。」「マクタブ…。」
またまたマクタブという言葉が出てきた。私は何か徐々にその言葉の意味を思い出しかけていた。
「ところでヨリ、」ミラーボール団長が私に向き直る。つんっと鼻を上向きにして得意げな表情だ。この人を食ったような態度がなんだかんだで憎めなくなってくる。
「絶対に間違えないでステップを踏むようなダンスに挑戦したくはない?」
「え?そ、そりゃ練習したらできるようになるかもしれないですけど。」
するとミラーボール団長はにやぁっと笑顔を溢して、
「じゃあヴォーダン・ゲームに参加するの決定!だね!」と言った。
え?ヴォーダン・ゲームってここに来た時に行われたすごく危険なゲームで成功してもゾンビになるやつじゃないの?ちょっと待ってくれ。
「いやいやいや!!それはいくら何でも危険じゃないですか!どちらにしろ死しかないゲームですよ!?」
ミラーボール団長はずいっと顔を近づけてくる。
「何者でもないキミが永遠に幸せになれるなら、魂が誰であっても同じじゃない?」
団長は私の人格なんてどうでもいいのか。ただ自分が面白いと思うショーができればそれで満足なのだろう。改めてとんでもないところに来てしまったと自分の運命を呪った。
「それにゲームを行うのはキミ一人じゃない。キミにはダンスの役目を、呪文を唱えるのはマクタブ・キャロウェイだ。」
夜が明けて、マクタブに全てを説明すると彼は黙って最後まで聞き口を開いた。
「わかった。要は絶対に呪文を間違えなければ良いんだな?俺は楽勝だが、そこのヨリ、お前は絶対にステップを間違えないでできるのか?」
マクタブが鋭い瞳で刺すように私を見た。私はどう答えたらいいか分からなかった。ミラーボール団長は話の中でこう話していた。
「レグバ姫を偶像にしないために、スピリット達はボクの列車に乗せる。その契約のためにゲームに参加して欲しいんだ。」
つまり団長がゲームに参加して欲しいと頼んできたのは、自分のためじゃなてレグバ姫や実態を持たないスピリット達のためらしいのだ。たぶん。
だったら少しは力になってもいいのかもしれない。
「はい!間違えないようにやってみます!」
「そうか。ならば練習に次ぐ練習が必要になるぞ。」
「わかりました!」
今日も集落には冷たい雨が降る。高台の沼の水嵩はまるで今にも龍が飛び出てきそうなぐらいに増していた。
数日後、集落の中央にはサーカスのテントが貼られた。木でできた歯車が廻るのと同時にシャボン玉が山の向こうまで飛んでいく。今日は朝から雨は降っていないがどうなるかはわからない。私は練習した通りに間違えないでステップを踏めるか不安だった。
ミラーボール団長は全てをレグバ姫に説明していた。
「しかしそうなると私は…。」レグバ姫が狼狽えている。
「そう。キミは不老不死ではなくなる。でも、永遠に続く幸せなんてそれこそ全くつまらないものだよ。」
準備ができ、開演の合図がした。ミラーボール団長は念を押すようにレグバ姫の肩に手を添えて言った。
「さあ、ヴォーダン・ゲームを始めようか。」
幕が開き最初はいつものサーカスと同じような演目が行われる。ピエロ達のダンスやマジックショーだ。
「ピエロはボクの友達なんだ。これからもずっとね。」
ミラーボール団長が話す。特に台詞に意味は無さそうだ。
それからジャグリングやフラフープ、ナイフ投げなどが進んでいく。住民達は食いいるようにサーカスのパフォーマンスを見ていた。
段々とマクタブの楽団達が準備を始める。楽器を持って所定の位置についていく。会場の明かりが急に暗くなった。
円状のステージの真ん中にマクタブが座っている。そして、更に高い所から見下ろすような形で立っているのが、この土地のシャーマン、レグバ・ウコンディだった。
「それではみなさんお待ちかねのヴォーダン・ゲームをお楽しみください!」
レグバ・ウコンディはマクタブの顔をまじまじと見て言った。
「ああ、どこかで見たことがある気がしていたけれど、やっとわかったわ。あなたはあの子に仕えていた呪術師ね。」
マクタブも初めてと言っていいような笑みを見せた。
「やっと気づきましたか。確かにあなたはあの方とよく似ている。」
「あの子と違って私は永遠の命を手にいれて幸せになろうとしたのに、ここまでとはね。」
楽団達が楽器を構える。音楽が鳴り始め、レグバ姫の透き通るような呪文が響いた。
マクタブがそれとそっくり同じ呪文を繰り返す。私はそっとステージ脇から足を踏み出した。正解のマスを順に踏んでいく。良かった。ここまでは間違えていない。
順調にマスを進めていると思っていた束の間、マクタブの様子が変わった。呪文のペースが詰まるようになってきたのだ。楽団の演奏も辿々しくなる。もしかして、今までとは違う呪文を唱えている?レグバ姫がわざとそうしているのだろうか。一体なぜ?
するとその時空気が歪むような感じがした。地面からフェルトや木でできた人形達が貼ってきて演奏に全く違うリズムを重ねるよう太鼓を叩いてくる。頭上には数多くのスピリット達が私の目にも見えるように飛び回っている。客席を見ると、サムディやドイハとヤムリア以外の住民はその場に倒れていた。まさかスピリット達が邪魔をしてるのか。
更に奇妙だったのはそれでもなお私の足は止まらずに正解のステップを踏み続けていることだった。ああ、結局いくら練習したってすごいのは私じゃなくてこの靴だったからなんだな。
そのまま私は何も見ずに意識を閉じてしまった。
☆☆★
一部始終を幕の横で見ていたミラーボール団長は慌てて会場裏の沼まで走って行った。外はざーざーと大雨になっている。沼は今にも氾濫しそうなぐらいさざなみを立てていた。
ミラーボール団長は雨に顔を濡らしながらも声を振り上げて沼に向かって叫んだ。
「出てきてくれ!!ボクはキミを一人にはしない!!」
それはあまりにも悲痛な叫びだった。沼は水嵩を増し、波打った。次の瞬間沼の底から姿を現したのはたくさんの動物達の骨が一つの塊になった巨大な蛇だった。
その臭いは何年にも渡って沼の底に蓄積されてきた死の臭いだった。これだけの亡くなった動物達が実態を求めてこの地に彷徨っていたのか。ミラーボールの瞳が潤んでいた。
「キミ達の魂はボクの列車に乗ればいい。キミ達が存在したっていうその意思があの列車を動かすんだから。」
蛇は数秒ミラーボールの瞳を覗くと、バラバラに砕け散った。動物達の骨も原型を留めないぐらいに粉砕し、沼は渦を巻いた。渦の中央に向かって、鳥が、花弁が、蝶が、落ち葉が、トルネードになって入っていった。それは見事に美しい景色だった。
雨が止み、雲一つなくなり青空が見えると、沼は光を反射してガラスのように澄み切っていた。ミラーボールが満足そうなでも少し切なそうな表情で沼の端に目をやると、ある小さな生き物がのそのそと歩いていた。
「キミだったのか、ボクがこの世界で会うべきだったのは。」
茂みからミラーボールの様子をずっと覗いていたサムディが言った。「か、かっけー!!」
☆☆☆
私が目を醒ますと、全てが終わったように空が晴れていた。ずっと踊り続けていた足は疲れたのか筋肉痛になっている。
マクタブが疲れて、でも満足したような様子で笑っていた。レグバ姫が近寄ってくる。
「まさか本当にクリアしてしまうとはね。わざと違う呪文を唱えたのに。さすがあの子に仕えていただけあるわ。」
マクタブは笑うとレグバ姫と握手しながら話した。
「あの人は愛する人に先に死なれてもなお生き続けることを選んだ。しかしすぐに亡くなってしまった。しかしあなたは永遠の命を手にいれた。あなたも同じ人を愛していたのですね?」
「遠い昔話よ。忘れてしまったわ。」
「俺はあの人が先に亡くなってしまいこの力をどうしていいかわからないでいた。そこで鏡の前で儀式を行った時にあの団長と出会い旅をしているのです。」
私にはよくわからないが、きっとマクタブとレグバ姫も数奇な繋がりがあるのだろう。ミラーボール団長がやってきて割り込んできた。
「やったよ!!これでボクの今回の目的は達成した!」
マクタブがやれやれとミラーボール団長の肩を叩く。
「お前は本当にタイミングが良くないな。」
ミラーボール団長はそれでもなんだか嬉しそうだ。レグバ姫の顔を見て言った。
「ああ!キミがずっと言ってるあの子が誰なのか思い出したよ。確かキミには双子の妹がいたね。マクタブが仕えていたのはその子だった。ここからもっと海の向こうの地下王国の…確か名前はエルゼリンとか言ったね。」
レグバ姫は不服そうな顔をした。
「あなたわざと間違えてるでしょう。いくつか嘘が混じってるわ。」
「サーカスのジョークだよ。大切なことはあえて見せないのさ。だからこそ大切になる。」
ミラーボール団長は得意気に笑った。すると更に団長の後ろからにょきっと悪戯そうな顔が現れた。サムディだ。
「団長さん!あんたすごいよ!やっぱりその帽子をもらっちゃ駄目かな!?」
団長は首を振る。
「ダメダメ!この帽子は特別なんだ!だけど、いや、待てよ…。」
団長は驚いた表情で帽子を深く被り直した。
「サムディ…シルクハット…運命の交差点….これもやっぱり決まってたのか…。」
ぶつぶつと独り言を言うとふーと息を深く吐き、帽子を脱いだ。そしてなんとサムディに帽子を手渡したのだ。
「この帽子はキミにあげよう。だけど忘れないでくれ。この帽子を被るということはキミが背負う運命もきっととても大きなものになる。この帽子を被ることはこの世界で生きてきた全てを、これから生まれる全てをわかってしまえるぐらいのことなんだ。つまり永遠の交差点に閉じ込められるようなものだよ。ボクにはサーカスがあるけれど、キミは自分の運命を受け入れられるかい?」
サムディは息を飲み、意を決した目で団長を見た。
「だったら僕はスピリットが簡単に人間を乗っ取らないよう見張る役目をするよ。この帽子にはそういったことができる力もあるんだろう?」
「キミの心次第でね。」
サムディは深く頷くと、手渡された帽子を被った。その時彼がどんなことがわかってしまったのかは私には図れなかったが、それは最初から彼の元にあるのが決まっているかのように良く似合っていた。
別れ際、透き通るような沼から列車に乗ろうとするとドイハとヤムリアがやってきて頭を下げてきた。
「ありがとう!」「ありがとうございます!」
ミラーボール団長は二人に頭を上げるよう促した。
「これで私達もレグバ姫よりも先に逝ける。あの方が偶像になるのを止められて本当に良かった。」
「あなた達のおかげです。」
二人は涙を流しながら微笑むと、光の粒となって消えていった。そしてミラーボール団長の手のひらにあったのは、
「カエルと…ヤモリ?」
カエルとヤモリの亡骸だった。
それって確か渡された鍵と一緒じゃないか。レグバ姫が歩いてきた。「ドイハとヤムリアは私が力を得た時に初めて人間に変えた生物なのです。そう、彼らが私の運命を変えようとしていたのね。」
団長がレグバ姫に聞いた。
「これからどうするの?」
「さあ。サムディに呪術を教えましょうかね。彼一人じゃあスピリット相手に遊びすぎるわ。」
「呪術じゃないよ。マジックさ。」団長が笑いながら訂正した。
「そうね。あなたのような者がいるなら、きっと。」レグバ姫はここに来て初めて、本当に生きてる人間のように声を上げて笑った。
☆☆☆
列車に戻るとマクタブはあくびをしながら宿泊車両に歩いて行った。
「もう疲れた。俺はもう寝る。」
私はずっと忘れていたことを思い出して、話しかけてみた。
「マクタブっていい名前ですね。」
「何?」
「昔好きだった本に書いてあったんです。マクタブ。それはもう最初から決まっていることだって。本当に好きな本だったんです。」
マクタブは「ふん。」と鼻を鳴らし、でも少し微笑んで自分の寝床に入っていった。
「それから、」
私はミラーボール団長の方に向き直ると、「サムディのこと、色々とごめんなさい。」と謝った。
しかしミラーボール団長は気にしてないみたいに「ふっふっふ。」と笑い「じゃーん。」なんと新しい帽子を手に持っていた。
「ええっ!?なんで?」
「ボクは色々な帽子をコレクションしてるんだ。それにあの帽子もいずれボクの元に必ず戻ってくるよ。だから渡したのさ。それに、目当てのコも見つけたからね。」
そう言うと団長はシルクハットの中からマジックみたいにある生き物を取り出した。
それは亀だった。甲羅が七色に輝く綺麗な亀だった。
「え?亀?」
「ろくぞう、だよ。やっと見つけた。」
「ええ?」
なんかよくわからないけどミラーボール団長が満足そうなのでよしとしておこう。